親子断絶(連れ去り・追い出し)とは
いままで寝食を共に生活していた親子が、ある日突然いなくなってしまう…
みなさまはこのようなことを聞いてどう感じられますか?
あるいはこの記事を読まれているのは連れ去りや追い出しの被害にあった当事者の方かもしれません。
国内では無意味なハーグ条約
2014年4月、日本はハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)を批准し、 国境をまたがる子どもの連れ去りは禁止されましたが、日本国内での連れ去りは2022年現在、違法とされていません。
いや、裁判所や警察・行政が正しく法を理解し運用すれば、明らかに法律に抵触する行為なのですが、国内の子の連れ去りについては不問とされるケースがほとんどです。
日本の単独親権制度によるひずみ
諸外国では離婚後も双方が親権を持つ「共同親権」制度 が採用されおり、離婚後も共同で育児・養育をするのが一般的ですが、主要先進国(G7)で「単独親権」を採用してるのは日本だけです。
つまり、共同で親権を持つことができないわけですから離婚後も一緒に子育てをしたいと別居側の親が考えていても、同居親側がそれをさせないということが一般化してしまっているわけです。
「DVなどからの避難」は許容されるべきでしょうが、虚偽DVを申し立てられ、親子の断絶が弁護士や裁判所によって正当化されている日本の仕組みは、他国からみるとかなり異常です。
連れ去りとは
子どもの連れ去りとは、配偶者のどちらかが相手の合意なく子どもを連れて勝手に別居してしまうこと。離婚協議中に別居する場合には、法的な決まりはありません。
しかし、家庭裁判所の判決によると、最初の連れ去り行為は子供の利益になると判断され、それを連れ戻す行為は「未成年者略取」と判断されます。
他国では、子供の連れ去りは「実子誘拐」とされており、国際結婚で子供を連れ去った日本人の親は誘拐犯とされ、「日本は拉致国家だ」とかなり厳しい非難決議が出されています。
同様に、片方の親を家から追い出す「追い出し」、親権を放棄して子供を置いて出ていく「置き去り」も親子断絶行為と言えます。
虚偽 DV とは
自らの子供の連れ去りの正当化のため、DV被害者であると嘘の申告をすること。DV加害者の濡れ衣を着せられた方は、子供に何年も会わせてもらえず、精神障害を発症したり自殺する者も少なくありません。
DV加害者とされた側が不服を申し立てて、撤回するためのシステムは一切構築されておらず、支援措置を出されたという事実だけで、警察や学校、それに行政からもDV加害者というレッテルを貼られてしまいます。連れ去り被害者は子供に会いたくても、行政や悪質弁護士たちの厚い壁が立ちはだかり、何年も我が子に会えず悶々と日々を送るしかないのです。
共同親権が導入されてもDV支援の運用が見直されない限り虚偽DVでの連れ去りは後をたちません。虚偽DVが大きな問題となればシェルター運営に支障をきたし、真正のDV被害者までいわれのない疑いをうける可能性があります。そして付け焼き刃のような運用見直しが行われれば避難・保護の妨げになる可能性もあります。
家庭裁判所の運用の問題
継続性の原則のみを重視する家庭裁判所
さらに離婚に際して裁判所が親権決定を考慮する要素の1つに、「継続性の原則」があると言われています。
「それまで子を監護している方が継続して監護するのが望ましい」というものですが、法律に定められた条文はありません。
あくまで家裁が親権・監護権を判断するために基準に過ぎないのですが、この継続性を確保するために子どもの連れ去り、親子の引き離しを指南する弁護士は後を絶ちません。
昨今では親権・監護権を確保するために父親が子どもを連れ去る、母親を自宅から追い出すケースも増加しています。 特にDVの被害に遭い、しかも親権をとれなかった別居母親たちの声は全く社会には届いていません。
これは裁判所の「継続性の原則」という運用そのものが子の連れ去りの原因になっていることは間違いありません。
- 誰が監護者にふさわしいか調査する能力。
- 決定した内容を当事者に強制する能力。
- 案件数をさばく人手。
- 別居親に対する無自覚な差別意識
日本の家庭裁判所には不足しているものが圧倒的に多すぎます。
強制力のない面会交流
では同居親側の弁護士が裁判所で面会交流を履行しなさいとなった場合、どれほどの割合で面会交流をさせるでしょうか?おそらく子どもを別居親に会わせなさいと指示する弁護士は非常に少ないでしょう。
また、審判で決定される面会交流の時間は金太郎飴のように「ひと月1回2時間」。面会交流の約束があって履行しなくても何ら罰則はありません。弁護士の逃げ口上は「私は面会交流は重要であることを認識し母親に説得を行っているが、父親の暴力があり怖がっている」という回答がきます。
また、一番の被害者は子どもです。
父親と引き離された子供の精神状態は不安定になり、精神疾患に陥った子供も少なくありません。
共同親権制度へ向けた動き
2021年、法務省は民法改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問し、「共同親権」の導入について検討する研究会を設置しました。
婚姻中だけでなく、離婚後も共同親権であれば父母双方に子の養育責任があることが明確になり、円滑な面会交流や養育費の支払確保が期待されることなどから、法制審議会を経由して国会にも法案が提出される可能性が高いといわれております。
法務省は離婚後原則共同親権を導入することで、子どもの健全な成長をはかりたい考えです。
ぜひとも、共同親権が実現し、被害者と子どもたちが断絶させられている今の日本の社会を変えて欲しいと願っています。
なお、諸外国の運用を見ると、離婚後共同親権制度には単独親権が含まれています。
加害性があるなど、子どもに悪い影響を与える親には監護権は認められず、面会も制限されます。また、親権停止・剥奪と組み合わせれば完全に単独親権状態となります。